変動金利は未払い利息が怖い?
変動金利では,支払額の見直しが5年に1回,かつ125%までの増額になるようになっているため,金利の上昇によっては月々の支払いで利息分の支払いもままならず,残りの利息が積み上がっていくことがあります.
この積み上がった利息が「未払い利息」で,よく未払い利息が発生するから変動金利は怖い,というような記載を見かけます.
しかし,その部分だけをみて「危険」と判断しないようにしてください.
一部銀行では,5年間に1回ではなく,半年ごとの金利の見直しのたびに支払額も見直す方法を選べるようです. こちらの方法では未払い利息が発生しませんが,大幅に支払額が増加し,支払いができず,破綻する可能性があり,危険度はより高いと考えられます.
実際に金利が急上昇した場合のシミュレーションを行ってみます.
まず,3000万を30年で借り,当初金利1.5%,5年後に金利が5%上昇し 6.5% に,8年後に金利が落ち着き 3.5% (当初比+2%) になったとします.
未払い利息が発生する場合のケースでは,当初の支払額は 103,536円,5年目の支払額は 129,420円になり,10年目以降は 144,770円となります.
未払い利息が発生しないように,毎回見直した場合,当初の支払額は 103,536円,5年後の支払額は 174,798円になり,10年目以降は 133,299円となります.
この2つのローンを見比べれば,5年ごとの見直しによって,月々の最高支払額が大きく抑えられていることがわかります. もし未払い利息がないように毎回見直していたら,5年目以降の支払いが困難になる可能性が高くなってしまいます.
未払い利息ありの場合,支払い額を抑えた分,総支払い利息は大きくなります. ただし,未払い利息なしの場合の返済額との差額を繰り上げ返済すれば,支払利息は同額に抑えることが出来ますので, 繰り上げ返済の手数料を考えなくてよければ,未払い利息なしの契約にメリットはありません.
金利が急上昇した場合,変動金利にはリスクがあるのは確かです.
固定期間選択型や,全期間固定の場合,そのリスクを銀行側が持つので,平均的な金利変動を行った場合より,リスクを加味した分だけ金利が高くなっていると考えられます.
従って,もし金利が平均的な範囲で推移した場合は,変動金利<固定期間選択型<全期間固定,の順で支払う利息額が高くなることになります.
よくシミュレーションをして,リスクを自分でとれそうなら,変動金利や固定期間選択型を,無理そうだったり,不安が大きい場合は,全期間固定が良い選択肢かと思います.(固定期間選択型は,一定期間後に変動金利になりますので,固定というよりは変動に近いもので,金利変動のリスクも多くあります.名前に惑わされないようにご注意ください.)