ミックスローン(変動・固定での分割)はどちらから繰上返済?
ローンを分割し,変動金利・固定金利で組んだ場合,繰上返済をどちらから行うべきか,悩むことが多いと思います.
結論から言うと,どちらが良い,と簡単に決めることはできません.今後の金利の予想と,何を優先するかによるからです.
変動金利の場合,将来の金利上昇に伴って返済額が上昇するリスクがあります.
このリスクを抑えるために変動・固定のミックスローンを選んだのだと思いますが,変動金利の方を繰上返済すれば,このリスクを更に抑えることができます. (ただし,金利の上昇幅によっては,固定を返した方が利息額を減らせて,トータルの返済額が下がる場合もあります)
一方,金利がより高い固定金利の方を繰上返済すれば,より多くの利息を節約することができます. (ただし,変動金利が固定金利より高い金利まで上昇しない場合)
それぞれ,シミュレーションをして確認をしてみましょう.
まず,変動金利の金利が上がらなかった場合に,変動と固定それぞれで繰上返済を行ってみます.
この場合,固定金利の方が,66.6万円ほど,総支払い利息を抑えられています. また,半額ずつ繰上返済をすると,変動側・固定側のみに繰上返済した場合の中間になっていることもわかります.
次に,変動金利で金利が大きく上昇した場合でも比較してみます.
この場合,変動金利に繰り上げしておくことで,103万円ほど総支払利息を抑えられています. 半額ずつ繰上返済をした場合は,先ほどと同様に中間の結果になっていることもわかります.
今回はかなり大幅に金利が上昇したために,総支払利息も変動金利の方が少なくなりましたが,上昇幅が小さければ,逆転しない結果になります.
また,このケースでは,変動側に繰上返済した場合は,金利上昇後の返済額は118,522円,固定側に繰上返済した場合は,返済額は113,692円となり, 固定側に繰上返済した方が返済額の上昇を抑えられていることがわかります.
変動側に繰上返済した方が,金利上昇時の返済額を抑えられそうに思えますが,そうとは限らないということもわかります. (ちなみに,金利が5%上昇したりすると,変動側に繰り上げた方が返済額を抑えられます.)
以上のシミュレーション結果からわかるように,どちらから返した方が良いかは,状況によることになります.
将来の金利の動向がわからない以上,どっちが正解というのは繰上返済しようと考えている時点ではわからないことになります.
ですので,繰上返済する時点で将来の金利を予想し,それぞれシミュレーションを行い,より良いと考えた方法を選ぶのが良いと思います.